[最新ニュース] IT・マテハン

DHLサプライチェーン、ピッキング作業にスマートグラス導入へ

2017/08/28

DHLサプライチェーン(株)は8月24日、庫内のオーダー・ピッキング作業にAR(拡張現実)技術を活用する「ビジョン・ピッキング」の実証実験を無事完了したと発表した。
この実験は世界規模で進めていたもので、今後は同ソリューションを世界各地の倉庫へ導入し、オーダー・ピッキングの新たな業界標準の確立を目指す。

同ソリューションでは、ピッキング作業員がスマートグラスと呼ばれる特殊眼鏡を装着。スマートグラスのディスプレイには、製品・商品の保管場所やピッキングする製品・商品のカート配置場所などオーダー・ピッキングの作業指示が表示されるため、作業員は作業指示書を手に持つ必要がなく、これまで以上に効率良く快適に作業できるようになる。

今回の世界規模で実施された実証実験の結果としては、生産性が平均15%向上し、作業精度の改善も見られた。また、使い勝手が良く、直感的に利用できるソリューションであるため、導入期間や作業員への研修時間も半減で対応するできた。

DHLサプライチェーンの最高情報責任者(CIO)兼最高執行責任者(COO)であるマーカス ボス氏はコメントを発表し、「DHLサプライチェーンでは、デジタル化を単なるビジョンやプログラムとは捉えていません。当社にとってもお客様にとっても現実そのものであり、現場作業に付加価値をもたらすものです。実際、生産性が向上したとお客様からもご好評いただき、お客様のオペレーションに画期的な技術を導入していることについても、お喜びの声をいただいています」と述べている。

米国、欧州大陸および英国において、テクノロジーや小売・消費財などの幅広い業界での実証実験が完了したことを受け、DHLではビジョン・ピッキング・ソリューションの長期的な展開に踏み切った。ビジョン・ピッキング技術が成熟期を迎え、標準的かつ再現可能なソリューションとなっているため、顧客の環境下でも迅速かつ容易に導入可能。この結果、顧客は業務の迅速化やピッキング作業の高精度化による生産性向上というメリットを享受することができる。

現場の作業員にとっても最先端技術を活用できることがモチベーションの向上につながり、スマートグラスが軽量で、手がふさがらず自由に使え、快適にピッキング作業ができるとあって、評判は上々。ボス氏は「実証実験がとても順調に終わり、AR技術はDHLサプライチェーンの標準サービスのひとつですとお応えできるようになり、とても嬉しく思います。DHLはAR技術をいち早く採用したロジスティクス企業として、オーダー・ピッキングの新たな形態を着実にこの業界に根付かせています」とも話している。

今回の実験は、パートナー企業3社ととも進められた。ARソフトウェアは、Ubimax社から「xPick」が提供されている。また、スマートグラスのハードウェアには、先頃発表されたグーグル社のグラス・エンタープライズ・エディション、およびVuzix社の「M100」と「M300」を採用した。なお、アジアとオーストラリアでは、他のパートナー企業とともに引き続き、実証実験を実施しており、同様の実用性が確認されている。今回のビジョン・ピッキング・プログラムの成功を受け、DHLでは、研修やメンテナンス、寸法計算など、ARやVR(仮想現実)技術の新たな応用先を模索・検討している。

|↑一覧に戻る|