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阪神高速・富士通、商用車ビッグデータで都市交通分析

2016/11/08

阪神高速道路(株)と(株)富士通交通・道路データサービス(FTRD)は11月8日、2015年3月から「交通ビッグデータの活用による社会価値創出に関する共同研究」を実施しており、このたび研究内容の1つである「道路利用者の安全・安心・快適性向上等に寄与するGPSデータ等を用いた交通分析手法」に関する研究成果の概要を発表した。

阪神高速は、高速道路上に一定間隔で設置している車両検知器により交通状況を把握し、交通管制や渋滞対策・交通安全対策等に取り組んでおり、ここに自動車から得られるプローブ情報による交通状況の詳細な把握を組み合わせ、安全・安心・快適につながる高度なサービス提供を目指し、2014年8月に交通ビッグデータの活用に関する共同研究の公募を行った。

一方、FTRDは、日本全国を通行する貨物トラックのうち約9万台に装着されている、富士通(株)のグループ会社である(株)トランストロン製ネットワーク型デジタルタコグラフから収集・蓄積される走行実績データを基に、商用車プローブデータサービスを2014年7月から開始、都市高速におけるプローブデータの社会的価値創出・有用性を研究・検討している中、IoT、交通ビッグデータの活用に積極的に取り組む阪神高速の公募案件に応募した。

発表された研究成果の一部は以下のとおり。

(1)高速道路における逆走要因の抽出
近年社会問題化している高速道路の逆走に対しては、逆走につながる「高速道路への進入間違い」を防止することが重要である。プローブデータを分析することで、問題のある車両の挙動を抽出、把握する手法を開発し、高速道路入口案内の充実に向けた対策の着眼点を示すことが可能となった。
 
(2)情報提供の高度化に向けた取り組み
最適な情報提供のあり方を検討する目的として、文字情報板での表示内容や表示方法がドライバーに与える影響を把握すべく、走行車両の挙動変化を分析した。プローブデータの活用により、高速道路本線上の文字情報板にて注意喚起情報を表示した場合、その通過直後に走行速度が低下する傾向が確認できた。結果、文字情報板の情報提供による走行安全性向上のための着眼点を整理することができた。
 
(3)大模補修工事の交通影響分析
工事回数の削減および工事自体の効率化を図るため、阪神高速では10日間程度の通行止めを伴う大規模補修工事を定期的に実施してきている。今後このような工事による交通影響を最小限に留めるため、過去の事例分析を行った。車両ID付の経路データを活用することで、大規模補修工事による交通影響をこれまでより面的かつ経時的に把握でき、また出発時刻や到着時刻の変化などのこれまで把握が困難だった内容を把握できることを示すことができた。

(4)速度分布の活用可能性検討
快適性および安全性確保のため、阪神高速ではこれまで顕在化した自然渋滞発生箇所や交通事故対策箇所を中心とした対策を実施してきた。さらなる快適性および安全性向上を目的とした潜在要因抽出のため、自由流における速度分布状況を把握し、その活用可能性に関する事例分析を行った。1秒単位のドットデータを活用して短区間ごとの速度分布を分析することで、速度超過しやすい箇所や道路線形等では説明できない速度低下箇所の抽出、速度抑制対策の効果把握が可能となった。

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