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北野病院/帝人他、ICタグで院内物流を一括管理

2019/10/24

(公財)田附興風会 医学研究所 北野病院(大阪市北区)は10月23日、シップヘルスケアグループの小西医療器(株)と帝人(株)が共同で開発した医療機関向けRFID物流管理(SPD)システム(※)を導入したと発表した。

小西医療器と帝人は、今後、北野病院での運用における業務改善効果を実証しながら導入施設の拡大を図っている。 
(※)SPDシステム:医療現場の消耗品管理を柔軟かつ円滑に行うための専用物流システム。

近年、医療現場では患者さんからの様々なニーズが増える一方、人手不足は深刻化し、 「高生産性・高付加価値」構造への転換が喫緊の課題となっている。こうした中で、多くの病院では医療機器や医療材料の運搬・在庫管理に多くの人員や 時間を要し、これにより臨床工学技師や看護師の本来の医療業務が圧迫されることから、北野病院では「トレーサビリティの確立・安全性の向上・コスト管理」をキーワードに、院内の状況改善を検討していた。

一方、帝人はICタグを貼付した管理対象物の入出庫や、ロケーション情報、使用実績を正確かつリアルタイムに読み取るRFIDシステム「レコピック」および「レコファインダー」を展開。小西医療器はこれまで多数の病院施設でSPDシステムの運用実績があり、現在も約50施設で蓄積したノウハウを活かし、物品運搬・在庫管理に関する安定的なシステムの立ち上げや、精度の高い分析提案に強みを発揮している。

そこで両社は北野病院の院内物流の効率化、安全性向上という課題に対して、それぞれが持つ技術やノウハウを融合させることで最適なソリューション提供が可能と判断し、新システムを共同で開発して、今回の北野病院での導入に至った。

●新システムの特徴 
(1)これまで医療分野においては、院内物流の一部にICタグを活用するケースがほとんどだったが、同システムは医療材料等の管理対象物にICタグを貼付 することで、SPD事業者の外部倉庫での入出荷から、病院への入荷、院内での使用に至るまで、物流業務全ての一括管理を可能とする。

(2)病棟や手術室では、ICタグが貼付された物品カードを「レコファインダー」に 投函するだけで、医療材料の使用実績が自動登録され、院外倉庫に情報が流れる仕組みになっており、人手による発注業務の大幅削減が期待できる。

(3)保険償還物品や1,000円以上の医療材料について、ICタグを貼付し、使用時に剥がして患者台紙に貼り換え、読み取りボックスに投函することで、どの患者に何の物品を使用したのかを把握できるため、医療材料のトレーサビリティ確保による安全性の向上や、患者ごとの原価管理が可能になる。

(4)同システム導入後の現場運用への定着状況や安全性等を段階的に確認することにより、5年以内には院外倉庫と院内物流を合わせた管理・作業工数を半減させる予定。 

●今後の展開 
今後、両社は北野病院における業務改善効果を実証し、さらに最適な運用方法を検討することで新システム導入の価値の最大化を目指すほか、他の医療機関への採用拡大に 向けて連携強化を図る。なお、小西医療器は来年度からの運用拡大に向けた体制構築、および既存SPD受託施設に対する同システムへの切り替え導入を計画している。

●「レコファインダー」とモニター(上)、運用イメージ(下、物流倉庫~病棟の使用までを一元情報管理)

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