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日本気象協会、気象情報活用の商品需要予測を事業化

2017/03/30

(一財)日本気象協会は3月30日、2014年度から気象情報を活用した実証プロジェクトとして取り組んでいる商品需要予測について、4月1日から事業として正式に開始すると発表した。また同事業化に伴い、専門部署「先進事業グループ」を日本気象協会内に新設する。

日本は現在、生産年齢人口の減少に伴う人材不足がさまざまな業種・業態で顕在化し、特に物流業で「物流の効率化」が強く求められている。また同じく社会的な課題として、実際の需要(実需)よりも多くの食料品が生産・供給されることで発生する大量の「食品ロス」があり、同協会では気象情報を活用した商品需要予測を行うことで、この2つの課題を解決すべく2014年度から2016年度にかけて経済産業省の補助事業「次世代物流システム構築事業 需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を実施してきた。


同プロジェクトの成果から気象情報を「ハブ(拠点)」にした物流の効率化や食品ロスの削減が可能と判断し、2017年度から事業化に取り組む。

今後、同事業では2017年度からは社会活動活性化と持続可能な開発目標(SDGs※)の実現に向け、食品業界をはじめとした「気象によるリスク」に直面する業界を対象に、気象情報をもとにした商品需要予測情報の提供および問題解決を支援するコンサルティングサービスを提供し、企業の「働き方改革」や「生産性向上」、「社会的責任(CSR)」を支援していく。

同事業の概要は以下の通り。
1)対象・活用方法例:サプライチェーンを構成する、製造業、卸売業・物流業、小売業を対象に日本気象協会がもつ独自の気象情報および解析技術に基づいた商品需要予測情報を提供し、その情報に基づいたコンサルティングサービスを提供。製品の生産計画の策定や配送の効率化、天候に応じた販売促進による売上の増加など、さまざまな活用方法をご提案し、企業での生産性向上に貢献する。

対象活用方法例
製造業(日配品)
・生産量の最適化(廃棄ロス削減、機会ロス削減)
製造業(季節商品)
・長期予報を利用した商品生産計画の検討
・導入期、需要期での販売促進による売上増
・終売期での的確な増減産の意思決定(廃棄ロス削減、機会ロス削減)
卸売業
・物流業・配送の効率化(モーダルシフトによる運送費削減)
小売業
・商品納入量の最適化(廃棄ロス削減、機会ロス削減)
・天候に応じた販売促進による売上増

2)提供情報:日次予測(日単位の2週間先までの気温)、週次予測(週単位の4週間先までの平均気温)、月次予測(月単位の3カ月先までの平均気温)など。活用目的に応じてどの情報を提供するか、情報の表現方法(グラフ形式や指数化など)などを企業の担当者との協議の上で最適な形式を決定し、情報提供。

※SDGs:SustainableDevelopmentGoalsの略。2015年9月の国連サミットで採択した持続可能な開発のための2030アジェンダに盛り込まれた17の目標のこと。

●事業のスキーム図(イメージ)

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