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ネスレほか、気象予測活用のモーダルシフト推進

2015/12/11

ネスレ日本(株)と川崎近海汽船(株)、(一財)日本気象協会は12月11日、気象予報を活用した海運によるモーダルシフト推進に合意したと発表した。この取り組みは経済産業省の平成27年度「次世代物流システム構築事業費補助金」の採択事業の一つ。互いに協力することで、省エネルギーの実現や物流分野において将来懸念されるトラックドライバーなどの人手不足への対応を進めていく。

ネスレ日本は現在、物流分野で環境負荷の少ないモーダルシフトを推進しており、2000年代当初よりトラック輸送から内航船輸送などへの切り替えに取り組んできた。モーダルシフトには、綿密な輸送計画と輸送量の決定を早期に実施する必要があり、またネスレ日本の製造するペットボトルコーヒーは、出荷量が気温変動に大きく影響されるため、輸送量の決定には気象情報を利用する必要がある。

一方、日本気象協会では「平成26年度次世代物流システム構築事業」で、気象庁の予測に加え、欧州・ 中期予報センターの予測を利用して気象予測精度を向上させることに成功し、2 週間先の気温予測情報を開発した。これにより、気象予測期間を長期にすることができ、さらにモーダルシフトを推進することが可能になった。

川崎近海汽船では、経済運航への取り組みとして、日本気象協会の提供する内航船向け最適航海計画支援システム(ECoRO)を利用している。このシステムは、高精度の気象・海象予測から最適航路を選定することで、定時運航を保ちつつ二酸化炭素排出量および燃料消費量を削減するもので、さらに省エネルギー効果を得ることが期待できる。

今回の3社が協力することで、気象予測に基づく出荷調整により在庫レベルの圧縮と欠品のゼロ化を図ることが可能になるのに加え、台風などによる内航船の遅延や欠航の予測をとりいれて、北海道・九州方面への内航船輸送拡大を期待できる。さらに今後、最適な社内物流の実現と、製造計画や製品の補充計画への気象予測の活用により、食品鮮度の向上や食品ロスの削減などの取り組みにもつなげていきたいと考え。

川崎近海汽船では、「北関東~北海道」間で成功している 20時間航海のサービスを「清水~大分」間でも展開することが決定しており、さらなるサービス品質向上を図る。

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