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矢野経済研調査、低温食品物流市場前年比3.8%増に

2015/12/08

矢野経済研究所は低温食品物流に関する市場調査結果を発表した。それによると、2014年度の低温食品物流市場規模は前年度比103.8%の1兆3,600億円だった。国内では食品の主要流通チャネルの総合スーパー(GMS)やコンビニエンスストア(CVS)、食品スーパー等において低温食品の取扱いが増加したこと、また、低温物流の高度化に伴い給食・病院食・宅配食などの高付加価値分野において需要が拡大したことが増加の要因。さらに経済成長が続くアジア圏において低温食品に対する需要が高まっていることで、市場は拡大傾向で推移している。
 
調査は冷蔵冷凍倉庫事業者や宅配便事業者、特別積み合せ運送事業者、システム物流事業者等の専業物流事業者のほか、食品メーカー系列事業者、食品卸事業者、米飯類ベンダー等など国内有力低温物流事業者を対象に2015年8月から10月に実施。直接面談調査、電話調査、各種統計・文献調査を併用して行った。
 
品質高い日系事業者に注目集まる

調査では経済成長に伴い低温食品に対する需要が拡大しているアジア圏には、日本からのみならず欧米からも流通事業者や外食産業事業者が多く進出。こうしたなか、誤配・遅配・破損の発生を限りなく低減させるなど、低温物流の品質管理において世界最高レベルの水準を有する日系低温物流事業者に対し、日系流通・外食産業事業者のみならず、現地の事業者、および欧米の事業者からも低温物流業務を多く受託するようになっているとしている。

一方、アジア圏での物流に関しては、車両や物流センター等の物流インフラが他温度帯(定温度帯、冷蔵温度帯、冷凍温度帯)の保管・配送に対応していないなど、未整備な物流環境が多い実状にも触れている。また、現地作業人員もまだ実務経験が十分でないことは否めず、物流品質の向上、効率化に向けて解決すべき課題は山積しているものと考えるとしている。
 なお、調査では加工食品・生鮮食品を問わず、小売事業者や外食店舗に納入される最終製品レベルでの物流を対象とし、食品メーカー等における原材料調達の物流は含んでいない。市場規模は日系低温物流事業者の国内外における販売高ベースにて算出している。
 
●低温食品物流市場規模の推移と予測(左側の数値の単位は10億円)

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