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物流連、東京五輪に伴う施設建設で物流円滑化の提言

2015/03/31

(一社)日本物流団体連合会は3月26日、「大規模建築物に関する提言」を国土交通省の羽尾物流審議官に提出した。

物流連は、昨年11月にオリンピック・パラリンピックに伴う大規模施設対策等小委員会を 設置し、東京五輪に向けて大規模建築物の建設が相次ぐと見込まれること踏まえた検討を行ってきた。提言では、今後建設される商業ビルや大型宿泊施設、競技場などの大規模建築物に対し、設計段階から物流への配慮を行うことが円滑な物流の実現や建物の利便性向上、周辺地域の環境や地域交通の改善につながるとして、そのルール化を求めた。

物流連では、引き続き大規模建築物における課題解決に向けて検討を進め、関係者に理解を求めていく方針だ。

提言の内容
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、大規模な建築物の建設が進められる。これまでの経験によれば、大規模な建築物に関しては、物流の業務に対し、十分な配慮が行われていない ため、物資の搬入や搬出に支障をきたす次のような問題が生じている。

(1)入り口の高さ制限により、貨物車両が入構できないこと
(2)荷捌き場、駐車スペースの不足により路上荷役作業が発生し、それがもとで周辺道路の渋滞や 環境悪化、貨物車両の二人乗務等が発生すること
(3)貨物用エレベーターの未設置、不足による長い手待ち時間が発生すること
(4)館内動線の不備により、円滑な搬出入の阻害、人の移動との交錯が発生すること

東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、今後の大規模建築物の建設に際し、物流 の業務に対して適切な配慮を行い、上記の問題が生じないようにすれば、次のように、多くの関係者 対し、良い効果が及ぶ。

(1)物流事業者にとっては、円滑な作業の実現により業務効率化が可能となる。
(2)建物の所有者にとっては、荷物の滞留や周辺道路の渋滞が発生しないことで、建物の資産価値向上につながる。
(3) 建物の利用者にとっては、的確な物流サービスに支えられて、建物内での円滑な活動や業務が 可能となり(入居者・テナント)、建物を利用する一般消費者も快適で安全な利用ができる。
(4)建物が存在する地域社会にとっては、建物内の荷役作業により、周辺での路上駐車・荷役がなくなり、円滑で安全な地域交通が実現され、環境面でも好ましいものとなる。

上記を踏まえ、また、一旦建設された大規模建築物の改築を行うことは、費用面や時間の面で困難であると考えられることにかんがみ、日本物流団体連合会は、東京オリンピック・パラリンピックを控えたこの時期に、大規模建築物に関し、関係者に対し次の提言を行う。

〇大規模建造物を建築する際には、設計段階において物流関係者との協議を経て、物流に配慮し たものとなるようにすること
〇そのための手順をルール化すること


羽尾物流審議官(左)に提言を提出する物流連大庭理事長(右)

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