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経産省がサービス向上ガイドライン発表、物流の優良事例も

2015/02/06

経済産業省は2月4日、中小企業385万社の8割を占めるサービス事業者に向けに生産性向上の参考事例を示したガイドラインをまとめた。この取組事例には15業種45事例が紹介され、物流・流通関連の事例も複数挙がった。

「商圏の拡大」で事例となったのは、白金運輸(株)の「海外企業との連携による国際物流展開とIT 化による運行管理効率化」。同社は、トラック運送や倉庫業、引っ越しなど地域の物流事業を展開しているが、通関業・保税蔵置場許可取得を契機に、原材料の輸出入や製品出荷など国際貨物取次事業に参入。ベトナム・ホーチミンに駐在員事務所を開設し、現地の物流企業と代理店契約を結び、経済成長が著しいベトナム全土をカバーする物流網の活用を可能にした。それによりベトナムに進出した日系企業の輸出入業務を手掛けるほか、日本国内の中小企業とベトナム現地企業間の受発注の仲介等に取り組んでいる。

また同社は、業界でいち早くIT 化による運行管理に取り組み、デジタルタコグラフ(運行記録計)や映像・音声を自動記録するドライブレコーダー導入によって自動日報作成による効率化を図っているほか、急発進・急ブレーキ等の問題運転の発見と指導を行っている。

「機能分化・連携」では、愛知運送(株)の「共同利用型クラウドを活用し、パートナー企業と情報共有を実現」が挙がった。これは、パブリッククラウド型のIT サービスを活用し、自社で自ら物流受付センター業務システムを短期間で構築。スマートフォンやタブレット端末からの利用も可能なシステムとすることで高い利便性を確保し、パートナーの運送業者と共同利用することにより、企業間で配車情報を含めた情報共有を実現した。クラウドシステムの共同利用により業務コストも削減した。

「IT利活用」事例は、(株)加賀屋の「料理のロボット搬送システム導入で効率化とともに『おもてなし』を充実」がある。同社は客室数232の大規模旅館ながら、食事を客室で提供する伝統的なスタイル。料理を出すタイミングは宿泊客1人ひとり異なる上、大型の施設を持つ旅館であるため動線も長く複雑だった。客室係が自ら料理を運搬すると、接客時間を削らざるを得ない。そこで厨房から各フロアへ料理を運搬するロボット搬送システムを導入した。この結果、客室係の労力の軽減と効率化が図られ、接客により多くの時間を割くことができるようになった。さらに、運搬中の食器の破損や料理の崩れが低減し、サービス品質の向上につながった。

同じく「IT利活用」では、(株)KYOTSUの「共同配送システムの発展によるトータルロジスティクス」も掲載された。これは、異なる荷主が同一の配送先への配送を共同で行う共同配送において、時間指定ニーズなどの細かな要望が増加していることを踏まえた事例。そこで、荷物の入出荷処理や在庫の管理を行うことができる倉庫管理システムを導入し、共同配送をより効率的に行うとともに、荷主数を増やすことで配送エリアを細分化し、顧客の要望に応えていくようにした。併せてメーカーの製造部品など調達物流を組み合わせるなど、材料調達から完成製品の輸送までの全工程での倉庫・商品管理・輸送を、共同配送を活用して低コストで実現するトータルロジスティクスを構築・提供している。

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