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マンハッタン・アソシエイツ、小売業界の重要分野を予測

2017/02/23

本日、マンハッタン・アソシエイツ(株)は2月23日、2017年の小売業界において重要になると考えられる分野についての予測を発表、インターネットショップ専門業者のリアル店舗への進出、革新的な配送方法の実現、人工知能およびAR/VR技術の普及、そして「オムニチャネル型顧客サービス」への移行を挙げた。具体的内容は以下の通り。

1.ネット専業店の実店舗へのシフト
ネットショッピングで成功したオンラインストア専業の小売業者の多くがリアルな店舗を持つ傾向は2017年も衰えることなく続き、その形態は本格的な営業店舗のほか期間限定の仮店舗、他社との協業型店舗など様々ながら、今後もオンラインストアがリアルな買い物カゴと仮想の買い物カゴの両方を重視していくだろう傾向はますます高まると思われる。特にこの傾向が顕著なのはおそらく米国で、Amazonは数百店にも及ぶリアルな書店を立て続けにオープンし、AmazonEchoという先進的なホームスピーカーをプロモーションするための期間限定の店舗を立ち上げ、また会計の待ち時間がゼロというコンセプトの食料品店AmazonGoもこれに続く。

2.時間を短縮する配送の新形態
英国におけるマンハッタンの調査によると、消費者の58%が「その場ですぐに」商品を入手するために店舗に足を運ぶという状況下で、小売業者にはオンラインからの注文に確実に応えられる配送方法の確立と、顧客の要望に沿って出来る限り即座に商品を手渡すことができる方法を構築することが求められており、小売業者は消費者の満足度を高めるために、従来「ラスト1マイル」で取り組んできたこと以上のサービスを提供できる努力が必要になってくる。Amazonでは、ドローンを活用したclick-to-deliveryサービスを世界で初めて導入し、注文後13分で届けるという驚異的な配送を実現した。こうした歴史的取り組みが、他の流通小売業者のそう遠くない未来における変革にもつながっていくと想像される。

3.カスタマイズサービスの切り札となる人工知能
顧客サービスのひとつとして自動会話プログラム「チャットボット」の活用が進み話題となったが、多くのチャットボットは知能というにはまだ程遠く、推測をもとに回答している程度。現時点では多くの取り組みが特定の質問に対して「最良の推測」を行っているだけで、カスタマイズした個別の回答を導き出す計算能力を備えているとまでは言えないが、その進歩の早さは目をみはるものがあり、現在は自然言語処理、ニューラルネットワーク、ディープラーニングなどがその先端テクノロジーとして注目されており、時間とともに豊富なデータが蓄積され、こうした取り組みの積み重ねによってAIの能力は確実に高まり、すでに人間のように考え、話し、判断し、対話ができるレベルにまで至っている例も現れ始めている。

4.仮想現実と拡張現実がもたらす変革
ここ数年、消費者の購買動機を刺激し企業の売上促進に貢献する手段として、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)が様々な形で取り上げられ、過去1年ほどでウェアラブル端末はより実用的になっている。2017年はVRやARがニッチな市場からビジネスの本流へと転換する年となるかもしれない。例えばBMW社は、Accentureと協力してGoogleのAR技術Tangoを活用したアプリケーションを開発し、実際の状況で車がどのように見えるかを視覚化する仕組みを提供している。また化粧品専門店の仏Sephora社が開発したバーチャル・アーティストアプリは、特定のメークアップカラーが自分の顔でどのように見えるかを即座に確認できるツール。米国のホームセンターLowe'sHoloroom社は、顧客がVRゴーグルを使って自分の理想とするキッチンやバスルームをデザインすることが出来るアプリを提供している。これらは皆、ここ15か月ほどの間に開発されたものばかり。

5.全社的オーダー管理でオムニチャネル型顧客サービスを実現
世界各国の流通小売業者では、フロントエンドの販売プロセスの整備を進め、多くで全社レベルのECプラットフォームへの投資が行われ、それがオムニチャネル型ビジネスに転換していくための基盤ともなっている。そうした企業の大半は、消費者の期待に応えられるシームレスで一貫したオムニチャネル型サービスの提供を目指してきた。取り組みのポイントは、全社的に統合されたオーダー管理システム(OMS)。先進的な流通小売業社は、自社のオムニチャネル戦略を策定し、実行に移した際の重要な技術要素として、このOMSの存在を挙げる。在庫を常に100%把握できていると考えている小売業者はわずか6%に過ぎない。一方で消費者の3人に1人は、もし店頭に在庫がないならば、他の店で買うか、購入をあきらめると回答している現状からも、今後、流通小売各社が全社規模でOMSを構築することの重要性に着眼し、導入がさらに進むことで、販売機会を逃さないための様々なアプローチを展開することが可能となると予想する。

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